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『(500)日のサマー』(原題:(500)Days Of Summer)

Posted by arnoldkillshot on 14.2011 映画タイトル:か行 0 comments 0 trackback
幸せの青い鳥のように、「運命の人」は現れた――そして恋のナゾを残して飛んで行った。

『(500)日のサマー』(原題:(500)Days Of Summer)
2009年 アメリカ
監督:マーク・ウェブ
脚本:スコット・ノイスタッター、マイケル・H・ウェバー
出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、ゾーイー・デシャネル、ジェフリー・エアンド、マシュー・グレイ・ガブラー、クロエ=グレース・モレッツ 他

あらすじ:
小さなグリーティングカード会社で働く夢みがちな青年トム(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)は、アシスタントとして入社したサマー(ゾーイー・デシャネル)に一目ぼれし、“運命の人”だと感じる。トムは彼女の一挙一動に一喜一憂しながらチャンスをうかがうが、会社のカラオケ大会でついに接近する。しかし「愛なんて絵空事」と考えるサマーは、トムの気持ちを受け止めつつも“友達”として付き合おうと言う。
とびきりキュートで抜群のセンスを持ち、どこかエキセントリックなサマーの魅力にトムはどっぷりはまっていき、毎日が素晴らしく仕事も絶好調。しかし胸躍るデートやセックスまで至る“友達”とは思えない関係の中で、トムはもどかしく思いながらもサマーの掴みどころのない態度の前に一歩を踏み出せない。
そんなときサマーから「もう会わないほうがいい」と言われ、失恋のショックのどん底に陥るトム。心は荒み仕事も絶不調だったが、そんなとき同僚の結婚式でサマーに再会する。
キュートで不思議な女の子サマーとの500日のそれぞれの日々を交錯しながら、トムは少しずつ変化していく…
感想:
ポスターを見た瞬間サマー役のゾーイー・デシャネルに(トムと同様)一目ボレし、もう何度も見ている大好きな映画です。
この映画の好きなところをあげたらキリがありません。恋の経過をシャッフルして見せる手法、ミュージックビデオ出身のマーク・ウェブ監督のポップな演出、そしてジョセフ・ゴードン=レヴィットが演じるロマンチスト男のイタさ、そして何より、サマーことゾーイー・デシャネルのチャーミングすぎる存在感!トムでなくとも惚れずにはいられません。そしてこの映画がタダモノではないのは、これが「ボーイ・ミーツ・ガールの物語だけどラブストーリーではない」という点。サマー同様キュートでポップな外見に、甘い恋愛ものを期待してはいけません。これはヘタをすれば恋の夢に水を差し、さらに基本的な人間関係にまで立ち返って深く考えさせられる、恐るべき映画なのです。

物語はいきなり290日目、トムが失恋して荒れているところから始まります。二人のなれそめすら見てないのにもう終わりかよ!500日までまだあと半分あるよ!?と思わせつつ、今度は出会いの日の場面へ。こうしてときめく恋の日々とそれが破れてからの日々が交錯して、徐々にトムとサマーの500日間がどんな顛末をたどったのかが見えていきます。

主人公トムは、ロマンチストなボンクラ男。Jesus And Mary Chainの"Psychocandy"やPixiesの"Doolittle"を部屋に飾り、Joy DivisionのTシャツを着てThe Smithsを聴くバイブルとしている……ステレオタイプすぎる文化系男子です。夢見がちなのに悲観的、いい大人になっても心は傷ついた少年のまま。誰かを待っていて、その人が孤独や、やりきれない世界から救い出してくれると信じている。その誰かは誰でもいいわけじゃなくて、「君の隣で死ねたら最高」と思えるような相手でなくてはならない――客観的に見てイタいというより、自分を名指しされたみたいなイタさを感じたのきっと私だけではないはずです。

「運命の人に出会えるまでは幸せになれない」と信じている彼の前に現れたのサマー。最高にキュートでセンスもよく、ちょっと変わってるけど、そこがまた可愛い。トムにとって、いやすべての男子にとっての理想の女の子です。そんな娘が「わたしもThe Smithsが好き」なんて言ってくれたなら、いやあの歌の「君」はまさに君だよ!!いやスミスより君の方が好きだよ!と思わずにはいられないでしょう。

趣味も共通するし、なかなか話も合う二人でしたが、どうしても意見が一致しないのは恋に対する互いの意見。切なくロマンチックな歌詞のような恋を信じるトムとは反対に、恋に夢中になるよりも自分自身でいたいというサマーは「恋なんて絵空事よ」と笑って言います。誰もがときめくヒロインのような姿とは裏腹に、彼女は誰かのものになるような女の子ではなく、自分自身を確固として持っている女の子なのです。

トムの想いを聞いたうえであくまで「友達」になろうというサマー。しかし彼女のそばにいられるなら……と、トムは「友達」としての付き合いを受け入れます。しかしサマーとの付き合いは、トムからしたらどう見ても友達以上――コピー室のキスに始まり、IKEAデートやおうちデート、さらに“気楽な”セックスまで。サマーと付き合い始めてから、トムの日々は薔薇色ならぬ“サマー色”に変ります。全編にわたってサマーはブルー系統の服を着ていますが、トムにとってサマーはまさに幸せの青い鳥。待ちに待った幸せが訪れ、イタさに磨きをかけて有頂天になるトムなのでした。

一方でトムは、恋人と互いに認め合えないもどかしさを感じます。あくまで友達だというサマーに、こんな関係が友達のはずがないと言うトム。どんなに気が合っても、この主張だけは相容れません。それでも二人は楽しくやっているように見えましたが……一体何が悪かったのか?サマーが別れを告げたのか分らないトムの気持ちと観客の気持ちはシンクロします。しかしトムは一向にその理由がわからず悶々とします。そんなとき二人は再会。あれだけ怒りと悲しみに沈んでいたくせに、けろっとしたサマーの変らない魅力の前に、トムはまたすっかりやられてしまいます。そこでトムはまだチャンスがあると期待を抱きます、が……

そう、トムの一番の悪いところはその期待。幸せをくれる運命の人に出会いたい、サマーとちゃんとした恋人同士になりたい、再び彼女と付き合いたい――そんな数々の期待がトムの眼を曇らせ、ありのままのサマーが見えていなかったのです。十分魅力的な女の子なのに、その上ずうずうしくもさらに自分の期待を押しつけていた。サマー自身の前に運命の人というフィルターをかけて、サマーという女の子そのものを見ようとしなかった……サマーは誰よりも自分自身であろうする女の子なのに、それを前から言ってたのに。

サマーが最初から言っているように友達として――恋人同士ではなく“トムとサマー”というありのままの関係で付き合い続けたなら、変らない関係を築けたかもしれない。サマーはずっとそのことを言っていたのではないでしょうか?サマーが過剰なまでに涙した映画『卒業』のラストシーン、そして彼女が読んでいた『ドリアン・グレイの肖像』は、それぞれあっけなく消えてしまうものへのやるせなさと、永遠に残る物への渇望を象徴しているかのよう。そう、サマーはトムが本当に好きだったからこそ、移ろってしまう恋という関係ではなく、友達としてありのままに認め合う関係を維持したかったのではないでしょうか。なのにトムは自分の“運命の人”への夢にとらわれ続け、現実にありのままに存在するサマーを見逃していた……こんなに素敵な女の子が現れただけでもラッキーなのに、さらにそれ以上を望んだために、サマーというせっかくの青い鳥を逃がしてしまったのです。あの童話も「幸せの青い鳥はそばにいた」と気付くところで終わりますが、トムは青い鳥が逃げてしまった後もそれに気づけなかったわけです。

しかし、“ありのまま”を大切にするサマーは、夢みがちで現実には目覚めていなかったトムを目覚めさせてくれました。それはトムの建築家になる夢。一度はあきらめた夢をを再び目覚めさせるきっかけになったのは、良くも悪くもサマーでした。そこからシャッフルしていた時間は、前にだけ進んでいく。覚めた眼をもって物事を見つめ、本当の自分を知っているサマーが、まだ歌の中の少年の夢にまどろんでいるトムに、本当の自分を目覚めさせる力を与えてくれたのです。

トムほどでなくても、同じような間違いをわたしたちもしていると思います。その人自身を好きになったりその人自身を見るのではなく、恋人がいなければ恋人の空席を埋める人を探し、寂しいのはイヤだから友達に“なれそうな”人を探す。この人は仕事での付き合いだからこういう風に振舞って、この人は親切だから人だから助けてくれる、とか……。そんなふうに相手自身ではなく、関係のレッテルを通して相手を見ていると、その人自身が見えなくなって大切なものを見逃してしまうんですね。幸せの青い鳥が逃げてしまわないためには、その青い鳥のもつ幸せの力を愛するのではなくて、その青い鳥自体を愛さなくてはならないのです。
“ひと夏の体験“がときに人生を変えるように、サマーとの500日間もトムにいっぺんの幸せと落胆を経験させて、歌の中の少年から現実の大人に少し近づけてくれた。そしてこの映画も、軽快な語り口でさりげなく、人間関係についての大切な見方を教えてくれます――ある意味カップルで見るには危険な映画ですが、それでも人と人とのありのままの関係を思い出させてくれるこの映画は、恋人同士にもそうでない人にも、いい薬になるでしょう。ただし味はビタースウィート。キュートな包み紙に油断するなかれ。


以上で『(500)日のサマー』のレビューを終えます。
とにかくゾーイーちゃんの魅力フルスロットルなこの映画の存在こそ、私にとっての青い鳥です。


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