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『柔らかい殻(原題:The Reflecting Skin)』

Posted by arnoldkillshot on 02.2011 映画タイトル:や行 0 comments 0 trackback
あんまり記事がないのもさみしいので、前にちょろっとやっていたブログの過去の記事から引っ張り出してきました。考察は「Read More」よりどうぞ。

柔らかい殻(原題:The Reflecting Skin)
1990年・イギリス製作
監督・脚本:フィリップ・リドリー

あらすじ:
舞台は1950年代、黄金の麦畑の広がるアイダホの田舎町。
8歳の少年セス(演:ジェレミー・クーパー)は、イギリスから来た謎めいた未亡人・ドルフィン(演:リンゼイ・ダンカン)に悪戯をして、彼女の家に謝りに行かされる。
そこでドルフィンの亡き夫の遺品を見て、セスは彼女を吸血鬼だと思い込む。
そのころセスの友達の少年が行方不明になるが、彼はセスの家の井戸で死体となって発見され、セスの父に疑惑が向けられ…
やがて心の傷を抱えて戦争から帰ってきたセスの兄キャメロン(演:ヴィゴ・モーテンセン)はドルフィンに恋をする。
セスは愛する兄が吸血鬼の餌食にされると思い、兄を彼女から引き離そうと考える…
現実の恐怖が少年の空想と無知と融合し、物語は少年時代の悲劇的な終わりへと向かっていく。

考察:
無垢で残酷な少年の無邪気な空想と恐怖を通して、ごく身近に存在する死や性のおぞましさ、大人たちの陰惨な思惑といったあらゆる現実の恐怖を、文学的な美しさで描いたこの『柔らかい殻』。
私の中の〝陰惨子供映画”のベスト5に入る作品です。
(同じく陰惨子供映画の傑作『ブッチャーボーイ(監督:ニール・ジョーダン)』のDVD化求む。)

黄金の麦畑に青い空という、牧歌的でありながら切ないほどの美しい舞台に、破裂するカエルや飾られた骨、吸血鬼の恐怖、奇声を発しつつ通り過ぎる謎の尼さん2人、そして捨てられた“天使”(本編参照)など、ネガティブな象徴をふんだんに用いて、独特のシュールでグロテスクな、しかし美しい世界が作り上げられています。
音楽も非常に美しく、どこか迫りくる恐ろしさや緊張感をはらんでいて映像にとても映えます。

その中でも重要なのは“吸血鬼”と“天使”すなわち“罪”と“無垢”だと思います。
この物語において、残酷さや死は”罪”とイコールではない。
じっさい、主人公のセスは残酷ないたずらをまったく無邪気に行いますし、小さな体であらゆる場所に入り込み、だれにも見つからないまま現実の世界をこっそりと垣間見るセスは、天使のような存在だとすら言えます。
そしてその無邪気さはセスを現実のむき出しの恐怖から守ってくれるThe Reflecting Skinなのです。
だからこそセスは酷いいたずらもまったく罪悪感なしに行えるし、彼の周りの恐ろしい出来事も子供らしい空想のフィルターによって、彼のまだ空想と現実の区別のない世界観にとりこまれるのです。
その象徴として劇中に卵のような殻に包まれた“天使”が、この上なくグロテスクなやり方で登場しますが、セスはこの天使と語ることによって空想を膨らませていきます。
それが取り返しのつかない現実をもたらすとも知らずに。

反対に吸血鬼はセスにとってあらゆる恐ろしさの象徴として描かれます。
夫の死(夫の遺品である毛髪や歯、香油など)を箱に詰め、狂気に取りつかれたように夫の死を嘆くドルフィンは、幼いセスには理解できず“吸血鬼”とされてしまう。
そして同じように理解できないもの=突然の友達の失踪や夜に揺れる影といったあらゆる恐怖は吸血鬼に還元される。

ですがセスは、自分のいたずらの残酷さや死そのものの恐怖は理解していないのです。
(ネタバレなので詳しくは言えませんが)友達が殺されたということについて恐怖を感じていないし、またある人物が自らに火をつけて燃え上がる場面でも、セスは自分の目を覆いつつも、その光景の美しさに頬をほころばせる。

では罪とはどこから生まれるのか?
それはこの物語の全体に流れる“吸血鬼は誰なのか?”というテーマに結びついています。

物語には、セスを取り巻くあらゆる恐怖が登場します。
それはセスが恐怖した未亡人ドルフィンであり、
ヒステリックで酷いせっかんをするセスの母親であったり、
セスの友達の死の容疑者であり、またうしろめたい過去のあるひ弱な父親であったり、
またセスの父親を執拗に疑う保安官であったり、
町に黒い車で現れる若者たちであったり、
そして頼りになる兄キャメロンが不意に見せる怒りであったり…
“吸血鬼”、すなわち悪しき恐怖は、これらのうちに不意に現れ、影を落とします。
ですが、本当の吸血鬼は…それは、映画が結末にたどり着いた時、衝撃と胸を劈く悲しみをもって、セス自身が、そして観客が見出すのです。

劇中で、子供が行方不明になり半狂乱になった母親が「あんたは罪の臭いがする!“罪”とお言い!」とセスに詰め寄る場面があるのですが、彼女に言われるがままに“罪”という言葉を言わされるセスは、罪が何かを知りません。
ですが、この映画の結末はその答えを提示します。“罪”とは、みずからの残酷さを知ってしまうことから生まれるのだと。


以上で『柔らかい殻』の考察を終えます。非常にマイナーなタイトルだと思うのですが、もっと多くの人に見てほしいです。若いころのヴィゴもかっこいいしね。

それから、フィリップ・リドリー監督の最新作”Heartless"(2009年)は、もう日本で日の目を見ることはないのでしょうかね…主演ジム・スタージェスなんだからビデオスルーでも日本に入ってきていいと思うのに。
”Heartless”予告編
かなりそそられる予告編です。きっと今回も幻想的で悲惨な作品なんだと思います。
でもきっと日本じゃ観られないんだろうなあ…


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