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悪童日記/親の顔が見てみたい

Posted by arnoldkillshot on 05.2014 映画タイトル:あ行 0 comments 0 trackback
『悪童日記(原題:Le Grand Cahier 英題:The Notebook)』
2013年 ハンガリー・ドイツ
監督:ヤーノシュ・サース
原作:アゴタ・クリストフ『悪童日記』(早川書房)
出演:アンドラーシュ・ジェーマント、ラースロー・ジェーマント、ピロシュカ・モルナール、ウルリッヒ・マテス、ジョンジュヴェール・ボルナール、ウルリッヒ・ハインス 他

あらすじ:
双子の「ぼくら」(アンドラーシュ・ジェーマント、ラースロー・ジェーマント)は優しい父(ウルリッヒ・マテス)と母(ジョンジュヴェール・ボルナール)と幸せな日々を送っていたが、迫りくる戦火から逃れるため、田舎にある母方の祖母(ピロシュカ・モルナール)の家に疎開することになる。幸福だったそれまでの生活から一転、「魔女」と恐れられる強欲な祖母の暴虐にさらされ、戦争下の死や悪を日々目の当たりにする「ぼくら」は、父に託された日記に真実を記しながら、痛みや寒さに負けまいと「訓練」を始める。互いに殴り合い、空腹や寒さに耐え、悪事を覚え、心の痛みすら忘れ……過酷な環境の中で「強く」なっていく「ぼくら」だったが、やがて終戦の日が近づいてくる。
感想:
亡命作家アゴタ・クリストフの同名ベストセラーを映画化。第二次大戦中のハンガリーを舞台に、世の中の悪に負けまいと自らを「鍛え」、次第に自らが純粋な悪の塊となっていく幼い双子の物語です。無垢な子供の純粋な悪意というと『柔らかい殻』、それを助長した大人たちの醜悪さと言う点では『白いリボン』を彷彿とさせます(これらが好きな人は気に入るかもしれないし、逆に物足りないかも)。

戦火を逃れて祖母の田舎に疎開した双子の兄弟が見たものは、あらゆる人の世の醜悪さ。優しい父母と過ごした幸福な日々とは打って変わって、ごうつくババアにこき使われ、街の人にはむやみに殴られ、戦争では簡単に人が死んでいく……もし彼らが双子でなければ絶望していたかもしれませんが、ふたつの身体にひとつの魂を宿し、同じ苦しみを分かち合う双子は、二人で過酷な境遇を生き抜こうと「鍛錬」することにします。そんな彼らを助けてくれるマトモな大人も誰もいません。聖職者は女を買い、優しくしてくれた人は死に、一緒にお風呂に入ったエッチなお姉さんはゲス野郎だったり……そんな中、痛みに耐え、悪意を学び、「強く」なっていくごとに、双子は人間らしい心をすり減らし、やがて凍った目をした恐るべき子どもたちへと変貌します。

しかし戦時中の子供がみんなこうなってはたまりません。この双子の場合、母親が実家を嫌って、子供を置き去りにしなければ、こうならなかったでしょう。しかし元をたどれば、母親のこのエゴこそが、双子が晒されることになる大人たちの悪の発端であり、母親こそが子供たちを悪の手に差し出した諸悪の根源だったわけです。そして双子は、母親の愛を失い、人の世の悪の乳房を吸って大きくなっていく――元々勤勉で、聖書をよく読むいい子たちだった彼らは、「右の頬を打たれたら左の頬を差し出す」がごとく、虐げられる自分の弱さを叱咤してさらに自分を虐げます。自分たちが受けた悪だけでなく、見聞きしたあらゆる悪をすべて自分たちの身に引き受け、そのたびに子供らしさ・人間らしさをすり減らしていく双子――そして人々が作ったこの恐るべき‟悪童”は、彼らが負うべき報いとして悪をばらまいていきます。

戦争の中で人の世の悪を親として育った‟悪童”たちにとって、戦争終結もまたひとつの裏切りだったのでしょう。平和は双子に平穏をもたらすことはなく、その二人でひとつの魂を引き裂いていきます。だけど「鍛えて」「強く」なった彼らは、自分たちにとって一番つらいはずの痛みさえ許すことなく、癒されることのない爪痕を抱えて生きていく……救いのない後味の悪い話ですが、唯一の救いは、同じ苦しみを分かち合い、助け合い、自分たち以外のものをすべて殺してまで守ろうとした兄弟の愛だけ。世界のすべてが彼らを裏切ったとしても、それだけは確かに最後の試練に耐え、生き延びていくのでしょう。

原作は未読ですが、三部作(『悪童日記』『ふたりの証拠』『第三の嘘』)のネタバレを読んでみた感じでは、本作を単品で楽しんで解釈しても問題はなさそうです。子供が主役の映画や後味の悪い映画がお好きな人にはおすすめです。


以上で『悪童日記』のレビューを終えます。
ベートーヴェンの第7が予告編に使われると、つい見ちゃうんだよなあ。

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私Arnold Killshotが好きな映画、音楽、本について紹介していくブログです。
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