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ノア 約束の舟/神の種、人の未来、魂の密室

Posted by arnoldkillshot on 17.2014 映画タイトル:な行 0 comments 0 trackback
『ノア 約束の舟(原題:Noah)』
2014年 アメリカ
監督:ダーレン・アロノフスキー
脚本:ダーレン・アロノフスキー、アリ・ハンデル
出演:ラッセル・クロウ、ジェニファー・コネリー、エマ・ワトソン、ダグラス・ブース、ローガン・ラーマン、アンソニー・ホプキンス、レイ・ウィンストン 他

あらすじ:
神が世界を創造し、自らに似せて最初の人間アダムとイヴを造ってから10数代――アダムの子カインが弟アベルを殺して以来、世界は人間の犯した罪で満ちていた。アダムの3番目の子セツの子孫であるノアもまた、カインの子孫たちの軍隊により父を殺され、それ以来妻ナーマ(ジェニファー・コネリー)や子供たちと放浪の旅を続けていた。ある日ノアは神からのビジョンを受け取る。血だまりと水に漂う無数の死体――神が洪水を起こして罪に染まった世界を滅ぼすと知ったノアは、祖父であるメトシェラ(アンソニー・ホプキンス)に助言を求める。そして神の意志に従い、人とは違い穢れなき動物たちを洪水から救うための箱舟を造り始めるノア。やがて月日は流れ箱舟は完成に近づき、子供たちも成長する。長男セム(ダグラス・ブース)は養女イラ(エマ・ワトソン)と恋仲になるが、彼女は子を産めないことに悩み、次男ハム(ローガン・ラーマン)は自分の妻を見つけられないことに焦っていた。そんな彼らを慈しむノアだったが、自分の家族を含めた人類を滅ぼそうとする神の意志にひたすら従おうとする。そこへ人々のリーダーであり父の仇でもあるトバル・カイン(レイ・ウィンストン)が洪水を生き延びようと箱舟を狙って現れる……
感想:
旧約聖書の創世記に記されている“ノアの箱舟”の物語をダーレン・アロノフスキーが映画化。アロノフスキー監督作品と言えば、ドリルで頭をえぐったりおばあちゃんが電気ショックを受けたり爪がはがれたりと、生理的にも心理的にもクる痛い描写ばかりが印象に残りがちですが、その一方で彼は常に凡人には思いつけない強烈なイメージを生み出してきたアーティスト。今回の『ノア』では前者を極力抑え、誰も見たことのない旧約聖書時代の世界を壮大に描いてみせています。元はユダヤ教・キリスト教のお話ではありますが、神、堕天使、楽園の種、箱舟、天変地異といった壮大でファンタジックな世界観に信仰のない人でも魅せられるでしょう。しかしそこはアロノフスキー、大洪水で流された先にはダークな世界が待っています。

宗教系の映画というと敬遠する人もいるかと思いますが、この映画は信仰についての映画ではありません。神が自らに似せて最初の人間アダムを造ってからまだ十数代というこの時代では、信仰とか疑いといったものは問題にはならず、神や世界の成り立ちが当たり前のこととして存在しています。この映画では神のことを“創造主(Creator)”と呼んでいるのですが、それはこの映画の人々にとって神が崇拝の対象としての畏れ多いGodではなく、父親のような当然のつながりのある存在であることを示しています。もっと言えば世界を経営していて時々仕事を任せてくる上司という感じ。この見方はなかなか斬新です。冒頭10分ほどで描かれる『ロード・オブ・ザ・リング』のごときファンタジックな描写もあり、もしかしたら信仰のある人の方が驚かされるかもしれません。

そういうわけで、主人公ノアが世界の終りに備えて箱舟を造ったのは神の命じられたからではあるけれど、それは信仰とは少し違うんです。この世界では神が父や上司のような存在だと前述した通り、この映画のテーマは信仰ではなく家族。そしてノアはアダムの第3子セツの子孫、つまり弟アベルを殺した兄カインとは違い従順な息子としての性質を持っています。だから世界を滅ぼそうという神の意志がどんなに残酷なものであっても、ノアは疑ったり反発したりせずに黙々と使命に従う。世界を滅ぼすということが、愛する自分の家族をも含むとしても。

ノアの世界は内と外にはっきりと分かれています。外にはカインの末裔がはびこる罪深い世界――愛する父を殺した、欲深く残虐な世界。そこから逃れて共に旅をする家族との世界には、愛や善なるものがあふれています。どんなに世界が悪に染まっても美しいものが存在する、それは創造主も同じ考えだったはず。しかし世界が罪に染まりすぎた時、父なる神はわずかな善を救うのではなく悪を滅ぼすことにした。そして神の従順な息子であるノアは、父なる神の苦渋の決断に同情し、同じ選択をします。すなわち愛に守られた小さな世界ではなく、罪と暴虐に満ちた外の世界を。

そうしてノアは神の啓示に従い、大洪水で滅ぼされた後の世界で“種”として生きるべき動物のひとつがいを乗せる箱舟を造るわけですが、興味深いのは彼が当然箱舟に乗ることになる自分たちを、生き延びるべき人間の“種”としてカウントしていなかった点です。聖書の記述ではノアの家族はスンナリと箱舟に乗って洪水を生き延びることになっているし、この映画でも神様は実はノアにも滅びろなどとは一言も言っていないのです(滅びないとも言っていないが)。しかしノアは愛する家族を含むすべてを滅ぼすという、理不尽な神の意志を納得しようとして悪に目を向けすぎた結果、愛すべき家族も含め全人類が罪深く死ぬべきだと考えるようになってしまう――劇中でノアは「悪から目をそらさないから神に選ばれた」と語られますが、実のところそれは原因ではなく結果。彼だって本当は家族を愛し、子供たちの未来を見守っていたいはずだったのです。けれどノアは父なる神を尊重するあまり、見守るべき家族の幸福ではなく、神にその決断をさせた世界そのものの悪を見ようとし、さらに愛する者たちの中にも悪を見出そうとした――だから啓示を受けて以来、ノアの様子は大きく変わります。家族を慈しむ優しい表情は消え、次第に家族殺しの狂人の様を見せていく。神の使命の執行者としての彼が、家族を愛するひとりの人間としての彼を殺そうとしているからです。

そしてついに大洪水が訪れたとき、箱舟という密室の中で善と悪の逆転が起こります。父なる神の意志に従い、愛すべき家族さえ悪の可能性をはらむ種として滅ぼそうとするノア。罪と承知でも人間として、愛する者の未来を願わずにいられない妻ナーマや子どもたち。そこにカインの子孫の長であり、ノアとは対照的に人間としての欲求を肯定するトバル・カインが絡み、ファンタジックな世界はいつの間にかいつもの悪夢的なアロノフスキー・ワールドに流されていきます。それがどのようにあの有名な聖書のお話につながるかは見てのお楽しみ。

いつもとっつきにくいけど面白い映画を作るアロノフスキー監督。今回も宗教がらみという点で日本人にはやや馴染みがないかもしれませんが、今回は痛いシーンも(比較的)少ないし何より映像が壮大で美しいので、今までの彼の映画で一番見やすい作品ではないでしょうか。ラッセル・クロウも聖書の登場人物のくせに無駄に強いので、この映画の宗教色をいい具合に薄めています。あとアンソニー・ホプキンスがいい味出してました。


以上で『ノア 約束の舟』のレビューを終えます。
全然関係ないんですが、ジェニファー・コネリーは『レクイエム・フォー・ドリーム』のラストと『フェノミナ』のウジ虫プールではどっちの方がイヤだったんだろう。

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