FC2ブログ
Loading…
 

スポンサーサイト

Posted by arnoldkillshot on --.-- スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『ドライヴ(原題:Drive)』

Posted by arnoldkillshot on 02.2012 映画タイトル:た行 0 comments 0 trackback
寡黙に情熱的、暴力的なまでに純粋な愛が、夜の街を疾走する――

『ドライヴ(原題:Drive)』
2011年 アメリカ
監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
脚本:ホセイン・アミニ
原作:ジェイムズ・サリス『ドライヴ』
出演:ライアン・ゴズリング、キャリー・マリガン、オスカー・アイザック、ロン・パールマン、アルバート・ブルックス、ブライアン・クランストン 他


あらすじ:
その天才的なドライビング能力で、昼はどんな危険なアクションもこなす映画のカースタントマン、夜は強盗の逃亡を手助けする名もなきドライバー(ライアン・ゴズリング)。孤独な彼はある日隣に住む人妻アイリーン(キャリー・マリガン)の車が故障したのをきっかけに、彼女とその息子ベニシオと親しくなる。彼の昼と夜の仕事を世話する修理工シャノン(ブライアン・クランストン)はそんな彼らを応援しながら、ドライバーをレースに出すという夢のために旧友の元映画プロデューサー、今はマフィアの仲間であるバーニー(アルバート・ブルックス)とニーノ(ロン・パールマン)に出資を依頼する。
アイリーンは寡黙だが心優しいドライバーに惹かれていくが、やがて刑務所から夫スタンダード(オスカー・アイザック)が戻ってくる。足を洗って家族を支えると誓う夫を愛する気持ちは変わらないが、ドライバーへの思いも残っていた。ドライバーは彼女たちから身を引くが、あるときスタンダードが血まみれで倒れているのを見つける。スタンダードは刑務所で用心棒を雇い莫大な借金を背負った挙句、借りを返すために強盗を強要され、断れば家族を脅かすと脅されたのだった。彼を、そしてアイリーンたちを助けるためにドライバーは強盗計画に加担するが、逃げる直前でスタンダードが殺されてしまう。強盗計画が罠だったこと、そしてアイリーンたちに危険が迫っていると気づいたドライバーは、愛する者を守るために孤独な報復に出るが……
感想:
この映画は、主人公の名もなきドライバーと同様に非常に言葉少なである代わりに、映画そのものの“表情”で多くを語ります。夜の街を照らす光、疾走する車のスピード、まるで心臓の鼓動のような音楽のビート、人物たちの静かで同時に熱くたぎる感情……言葉よりも雄弁で鮮やかな映画の表情の中に浸れる至福と緊張感は、他の映画ではなかなか体験できないでしょう。暴力とロマンス、静かで幸福な日常と緊迫感あふれる裏の世界、喪失と守るための戦い――それらの正反対で表裏一体の様々な要素が絶妙な緊張感の中で主人公の孤独で寡黙なドライバーの姿へと調和しており、それを体験できるのは快感ですらあります。

「仕事は何を?」「運転だ(I drive.)」その通り、誰も請け負えない危険な道を一人車で疾走することが我らが主人公、名もなきドライバーの仕事です。昼は映画のカースタント、夜は強盗の逃亡を請け負う寡黙な男。自分の身一つと危険だけを車に乗せる。そのスタジャンの背中には大きなサソリの絵。常に楊枝をくわえ、革のグローブだけでシンプルに武装する。銃は持たない、運転こそどんな銃よりも正確な彼の武器、彼の生き様なのです。
「この街には10万もの道がある。あんたは行き方を知らなくてい。あんたは時間と場所を教え、おれは5分間ドアを開けて待っている。その5分間何が起ころうと、あんたを請け負う。何があっても必ずだ。1分でも過ぎれば、何が起きようとあんた自身で引き受けろ」
(There's a hundred-thousand streets in this city. You don't need to know the route. You give me a time and a place, I give you a five minute window. Anything happens in that five minutes and I'm yours. No matter what. Anything happens a minute either side of that and you're on your own.)

警察の追手を振り払って強盗の逃亡を手助けするというあまりにも危険な仕事。強盗たちは自分たちが捕まるのではないかと後部座席で怯えているけれど、ドライバーは恐れない――なぜなら自分の運転は確実だと“知っている”から。冒頭、警察に見つかって追われる中、ドライバーは目まぐるしく入れ替わる夜の闇と追跡の光を払いのけるように疾走する。パトカーの追手を天才的な運転で振り払い、ヘリのサーチライトからさえ隠れ、見事に仕事をやってのけます。そして終わったら人ごみに紛れて消えていく……その仕事ぶり、まさにプロ。しかしその姿はあまりにも孤独です。
この夜の仕事も、昼のカースタントも同じく誰もが恐れる危険な仕事。車の中に、すなわち彼の心の中にいるのは自分一人と危険だけだった……アイリーンに出会うまでは。車が故障して困っているアイリーンを助けたのがきっかけで二人は親しくなっていきます。車を修理に出して帰れないアイリーンと息子ベニシオを自分の車で送るドライバー……それは危険しか相乗りしてこなかった彼の心に、初めて“ひと”が乗ったときでした。二人とも言葉を交わさない、ただ見つめ合ってお互いの愛を交わします。それも不器用にではなく、あまりにも自然に。まるで出会った時からアイリーンは、言葉では表せないドライバーの生き様を理解していたかのようです。
冒頭で流れる"Nightcall"の歌詞「君にナイト・コールを送る おれの気持ちを伝えたくて/君をドライヴに連れ出したい 丘を下って/君が聴きたくないことを おれは言おうとしている/暗いところへ連れて行こう だけど怖がらないで」「秘められた何かが あなたの中にある/言葉にできない何かが/人はあなたのことを噂するけれど/あなたは今もずっと変わらないのね」という言葉がふたりの関係に重なります。

そこへ現れた、二人を遮るふたつの影。ひとつはマフィアのバーニーとニーノ。もうひとつはアイリーンの夫スタンダードの存在――二人はこの儚い恋をそっと見送ろうとします。しかしスタンダードが襲われ、ドライバーは彼を助けることに。いつものルールで武器はなし、運転だけ、報酬もなし。今度の仕事は夜ではなく明るい昼の中なのは、彼にとっては今までの危険の見返りとしての報酬のためではなく、彼にとっての光――愛する女の幸福を守るためだからでしょう。
しかし彼の守りたかったものはスタンダードの死で崩れてしまいます。今までの静かな幸福が崩れ去ったのと同時に、それまで緊張感の中で押し殺されていた暴力的な衝動が、物語の中で吹き出し始めます。女を殴り、追手を血みどろにして殺し、強盗を指図した男を金ヅチで殴って吐かせる……彼の中の憤りと悲しみはここでも言葉ではなく暴力として吐き出されます。ドライバーは愛する女を守るためにたった一人で報復に出ますが……

追手が迫るなか、ドライバーはアイリーンに最後の言葉を伝えようと彼女の元へ行きます。一緒に乗り込んだエレベーターには追手の姿……だから彼女に伝えられない。その代りドライバーはアイリーンに何も言わず、ただゆっくりとキスするだけ。その言葉のない愛のメッセージは、彼女にだけ心を見せ、敵には一切の感情を見せないドライバーらしい伝え方。そしてキスが終わるとともに、彼は追手を打ちのめし、顔が粉々になるまで踏み殺します。そのあまりにも凄まじい光景に立ちすくむアイリーンとドライバーを、エレベーターのドアが遮る。それはまるでアイリーンの愛に満ちた幸福な世界とドライバーがずっと身を置いてきた危険な闇の世界を、暴力という壁が遮ってしまったかのようです。その闇の世界に一人残されたドライバーは、壁の向こうで手の届かない愛を守るために一人始末をつけようとします。その横顔を照らす夜の街の光――それは今や逃れるべき追跡の光ではなく、暗い世界で彼を照らす愛というたったひとつの光なのです。
報復にやってきたドライバーは、スタントのマスクを被っています。それはただ姿を見られないためではなく、ほとばしる感情を敵に見せないためだったのでしょう。ニーノにはそんな彼の不気味な姿が怪物のように映ったでしょう――しかしマスクから覗く瞳には、抑えきれない人間的な感情があふれています。愛する女の幸福を守れなかった悔しさ、それを奪った敵への怒り、そして自分に何があろうと彼女を守りたいという切ないほど強い思い――だけどその人間らしい感情は愛する女のためだけに。その引き換えに暴力のマスクで敵に立ち向かう……彼は戻れないと覚悟を決めていました。その前にアイリーンに伝えなくてはならない。彼女に電話をかけ、ずっと伝えたかったことを言います。
「あるところに行くんだ、もう戻れないと思う。だけど伝えたかった。君やベニシオといられたのは、おれの人生で最高の幸せだった」
感情を見せず、言葉に自分を表現することのなかったドライバー。そんな彼がことばというとても人間的なものに自らの感情を託した、最初で最後の時でした。そして彼は決着をつけるべく車を走らせます……
決着の後、最後にふたりはどうなったのかはこの寡黙な映画のことだからはっきりとは語りません。それでもアイリーンはドライバーのドアをノックし続けるだろうし、ドライバーはこれからも彼女への愛を車の中に乗せ、危険な暗い道を走り続けるということは確かです。それはラストのドライバーのより一層孤独で悲しい瞳から、言葉よりも強く感じられます。

この寡黙で表情豊かな映画の中で、ひたすらライアン・ゴズリングの存在感がものを言います。非常に寡黙で、くわえた楊枝とダサいスタジャンに身を包んだドライバーの佇まいは、ひたすら粋でカッコいい。ヘタをしたらただのキザなカッコつけになりそうなところを、ゴズリングの眼の表情がこのキャラクターにリアリティを与えています。カーアクションでの緊張感に満ちた目つき、アイリーンやベニシオに見せる優しい表情、そして後半の暴力シーンでの、表情は抑えながらも激しい感情を止められない強いまなざし……すべてが印象的で、このドライバーというキャラクターを忘れられないキャラクターにしています。童顔がかわいいキャリー・マリガンは、こういう所帯じみた役もさすがに巧い。個人的に悪役よりも『ロスト・チルドレン』の純粋な大男役が一番好きなロン・パールマンなど、その他の出演陣もこの映画のいい“表情”として、強く印象に残っています。
ドライバーの昼と夜の顔のように、彼の寡黙で静かな佇まいと内に秘めた激しい感情、孤独と愛、緊張感に満ちたカーアクションと張りつめていたものが切れてほとばしるようなバイオレンスといった二面性はこの映画の大きな魅力です。それをつなぐのはドライバーの疾走する車――彼の車、すなわち心の中に乗せた大切なものを、どんな危険を持振り払って守ろうとする姿。それがこの映画の、そしてドライバーというキャラクターに一貫して存在するテーマです。アイリーンに出会うまで彼は自分の孤独しか車に乗せていなかった。しかしその車に愛が乗ってきた時はじめて暴力の中を突っ切ってでも守りたいと思えるものを手に入れたのでしょう。その鋼鉄の外側は血で汚れていても、その内側にはただ一人恋に落ちたひとへの人間的な思いが秘められている。彼の二つの顔は、「走る」という行為によってひとつになり、そんな彼の思いを乗せた車は私たちの心の中まで突っ走っていくのです。

以上で『ドライヴ』のレビューを終えます。
ところで引き続きライアン・ゴズリングのバンドDead Man's Bones応援してます。彼の別の素敵な側面が見られるので、この映画で彼がカッコいいと思った方はぜひこちらも!

関連記事
スポンサーサイト


  • 管理者にだけ表示を許可する

trackbackURL:http://killshot.blog65.fc2.com/tb.php/137-12386d47

プロフィール

arnoldkillshot

Author:arnoldkillshot
ブログの説明:
私Arnold Killshotが好きな映画、音楽、本について紹介していくブログです。
主なコンテンツは
①劇場・DVDで観賞した映画のレビュー(主に洋画、ホラー映画)
②洋楽の歌詞の翻訳とビデオの紹介
③読んだ本の紹介
④海外記事の翻訳(新旧問わず、インタビュー記事など)
などです。コンテンツは徐々に増えていくかもしれません。

Twitter

タグ検索

全記事表示リンク

カウンター

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
未設定
--位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
未設定
--位
アクセスランキングを見る>>

FC2アフィリエイト

人気ページ

検索フォーム

QRコード

QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。